ピンターがノーベル文学賞!
ピンターがノーベル文学賞を受賞しましたね。ハロルド・ピンター、『ダム・ウェイター(料理昇降機)』、『ホームカミング(帰郷)』、『ケアテーカー(管理人)』などを書いた劇作家です。私が大学で英語劇をやっていたころ、おおいに流行った不条理劇の旗手で、そのころ演劇にかかわっていた人でピンターを知らない人はいなかったでしょう。でも、いまでは「ピンター、who?」という方も多いのでは?
毎日新聞には、彼の受賞が決まった選考会の内幕に関する記事が出ていました(10月20日夕刊)。そこには、地元ベテラン記者の話として「ピンターを知らない若い記者も多い」という記述も。じつは、これを書いたY.S.さんも、大学でいっしょに英語劇をやった仲間で、いっしょにピンターなどの脚本を読みあさったものです。彼女は同じく不条理劇の"Interview" という作品で、見ていてせつなくなるような孤独な女の子を演じて、おおいに好評を博しました。その前年には、イヨネスコの『禿の女歌手』にも出ました。
『禿の女歌手』の出演者のなかには、現在、同志社大学教授で元・三菱総研ロンドン所長の浜のり子さんも。細身の浜さんがメイドのかっこうで、舞台前面に大きく足を広げてポーズを決めると、まるでアバンギャルドな針金細工の人形のよう。まじめな(?)女子大生だった私は、こんな表現もあるのかと、度肝をぬかれました。いま、浜さんが新聞などに寄せられた文章を読むと、あの芝居っ気があるから、これだけの文章が書けるんだなとつくづく思います。
この公演はコンクール形式で、4つの大学が競演するものでしたが、慶応大学の作品にはあの中村雅俊さんも出ていました。私は一年やっただけで、まったく目立たない出演者でしたが……ピンター受賞のおかげで、遠い昔のことを思い出してしまいました。
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