アラブが気になる
30年ほど前、アラブ諸国をしきりに訪ねたことがあった。
いま注目されている某国を訪れた時のこと。
ちょうど国の祭典が開かれていたのだが、物事がなかなか前へ進まず、「待ち」の時間がいつまでも続いて……。と思っていたら、あるとき突然事態が動いて、そうなるとすべてが爆走、バスも反対車線をどんどん走る。
興奮した群衆がパレードの列に迫ってくると、警察が空に向かって発砲、群衆はいったんおとなしく引き下がるが、しばらくするとまた押し寄せ、警察もまた発砲、という具合だった。
何が起こっても不思議はない国、という印象だったが、何も起こらなかった。しかも、何十年もの間。
だが、その国がいま激しく動いている。そもそものきっかけはインターネットで人々がつながったことだという。
どこの誰が発言しているのか、すぐにはわからないから、立ち上がれたのかもしれない。だから、いままでとても考えられなかったような変化が起こり始めたということなのか。
そのころ私が訪れたアラブの国々では、大事なことは必ず顔を合わせて話し合っていた。
同じころニューヨークで電話連絡によってどんどん事態が動いていくのにも驚いたが、ちょうどこれの逆でとても新鮮だった。日本でも電話で話を済ませる傾向が強くなっていたが、本当に大事なことを話すにはやはり顔を合わせるべきだと反省もしたのだった。
あの地域でも、人々は直接顔を合わせるよりは、ネットでつながるようになったのだろうか。
テレビを見ていたら、アメリカ人が口々に「民主主義の国が増えていくのはいいことだ」といっていた。マスコミには「民主化の波が広がる」というタイトルがあふれている。だが、そんな単純なものではない気もする。
この先、アラブの国々はどこへ行こうとしているのだろう。とても気になる。
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