アメリカでは早くもグロフの新刊が
ローレン・グロフの本は、短編集の訳書『丸い地球のどこかの曲がり角で』が今年の2月に出たばかりだが、アメリカでは早くも次の作品が刊行され、話題を呼んでいる。
新作の題名は『Matrix』。中世のヨーロッパを舞台に、女たちの連帯を描き、立場を超えて惹かれあう女たちを描いた、シスターフッドの書だ。
主人公のモデルは、12世紀にイングランドで活躍した謎の女性詩人、マリー・ド・フランス。名前が示すとおりフランス生まれで、英仏文学史上最初の女性詩人として知られ、その作品はいまでも読み継がれている。だが、生涯に関しては、ヘンリー2世の宮廷にゆかりのあった女性ということ以外は、諸説あってよくわかっていない。
Matrixは、このマリーに、波乱万丈の人生を送ったヘンリー2世の妃アリエノール・ダキテーヌが絡んでくる物語だ。
本書は9月にアメリカで、ついでイギリスで発売され、全米図書賞のショートリストに挙げられたほか、多くの書評が書かれ、新聞や雑誌に特集記事やインタビューが掲載された。なんとか日本の読者にも紹介できないものかと思っている。
参考
『十二の恋の物語―マリー・ド・フランスのレー (岩波文庫)』
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