アメリカでローレン・グロフの新刊が出た!
『運命と復讐
』の作者、ローレン・グロフの新しい短篇集が出た。彼女が現在住んでいるフロリダ州を舞台にした11篇を集めたもので、タイトルはずばり『Florida』。
発売はアメリカ時間の今週火曜日だったが、早くも話題になっているらしく、上記のリンクを始めとする通販サイトにはびっくりするような数の書評が並んでいる。試しに見てみてください(笑)。
グロフにはすでに『Delicate Edible Birds』という短篇集があり、そのうちの一篇「L・デバードとアリエット―愛の物語」は村上春樹さんの『恋しくて』というアンソロジーに収められている(このアンソロジー作品はどれもとても読み応えがあるし、すべて村上春樹訳なので、要チェック!)。
村上さんはこの「L・デバードとアリエット」を評して、「短篇なのに、まるで大河ドラマを思わせるような壮大な歴史小説仕立て」と書いているが、『Florida』の短篇の中にも同じような独特な時間の進め方をする作品がある。鰐の住む沼のほとりで生まれた少年の一生を追ったもので、2012年のオー・ヘンリー賞受賞作だ。
ハリケーン(『運命と復讐』でも印象的な使われ方をしている)を扱った作品もある。嵐が近づいてくるというのに避難もせずに自宅にとどまっていた女性のもとへ、激しい風雨をついて、元夫や元恋人、父親といった人々の亡霊が訪ねてくる話だ。いわゆる幽霊譚なのだが、じめじめしたところはまったくなく、グロフらしい笑いとエロチシズムに満ちている。こちらは2014年の『アメリカ短篇小説傑作集』に選ばれ、『アメリカ短篇小説百年の傑作撰』にも収められた。
そのほかにエッセイ風の作品も多く、この作家の今を知ることができる貴重な短篇集と言えそうだ。なんとか日本でも紹介することができないかと思っている。
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