「週刊読書人」にも書評!
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「週刊金曜日」に書評が!
「週刊金曜日 2017年 11/10 号
」に倉本さおりさんによる『運命と復讐
』の書評が出た。タイトルは「悲劇か喜劇かは見方次第 結婚が照らし出す真実の多面性」
アメリカで行なわれたインタビューの中でグロフは「人生は、そして結婚はとても複雑なもの。そして複雑だからこそ、矛盾を抱えているからこそ、美しいのだと思う」と言っているが、それを思わせる書評だ。マチルドの怒りの本質に関する洞察もドキリとするほど深い。
訳者自身による作品の紹介はこちら。
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先日の記事に、ローレン・グロフの長篇が日本で紹介されるのは『運命と復讐
』が初めてだと書いたが、グロフの短篇は2013年にすでに日本語になっている。翻訳者は村上春樹さん!
その短篇「L・デバードとアリエット―愛の物語」が収められているのは、村上春樹さん編訳のアンソロジー『恋しくて』だ。文庫版はこちら
。
私も『運命と復讐』の原書を読む前にこの短篇を読んで強い感銘を受けたが、村上さんは「短篇なのに、まるで大河ドラマを思わせるような壮大な歴史小説仕立て」と評している。
グロフの短篇は少ないページ数の中で長い年月の間に起こったことを超高速で描く、寓話を思わせる語り口が特徴で、しかもあらすじのようにはまったく感じさせないのが見事。この語り口は『運命と復讐』の冒頭でも使われている。
いきなり長篇を読むのはちょっとという方は、まず同じ作家の短篇をこのアンソロジーで読んでごらんになるのはいかがだろう。
「恋愛」をテーマに、アリス・マンローなど欧米の作家の9編を集め(すべて村上さんの訳)、村上さん本人も「恋するザムザ」を書き下ろして加えたもので、これを読むとグロフ以外にもきっと好きな作家や作品が見つかると思う。
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『運命と復讐』は三十数カ国で翻訳されたか翻訳が決まっている。すでに刊行されているもののうち、いくつかの表紙をご紹介しよう。 まずはこれが新潮クレスト・ブックスの『運命と復讐』(書影は新潮社の紹介ページを開くともっとこまかいところを見ることができる)。
一見おとなしめのロマンチックな表紙だが、これがなかなか曲者。女性が花びらの中に隠れていたり人魚の姿に変わっていたり。作品の内容をそのまま表わしたような謎めいた切り絵だ。
装画を手がけられた切り絵作家、天羽間ソラノさんの作品紹介ページによると、一番下に描かれた骨貝の部分に下描き段階ではとんでもないものが描かれていたらしい。
天羽間さんが新潮社に打ち合わせに行った日はものすごい嵐で、雷は頭上で鳴り響くし、横殴りの強風と大雨で全身ずぶ濡れになるしでたいへんだったとのこと。波乱とエネルギーが満ちたこの作品にふさわしいエピソードだ。
日本では長篇の翻訳としてはこの『運命と復讐』が一作目である。
次にご紹介するのはまずアメリカで刊行された原書(左)。全体が波の絵になっており、タイトルの文字を飲み込まんばかりの波が荒々しい展開を予想させ、作品の持つエネルギーを感じさせる。
真ん中がドイツ語版。
右端がフランス語版で、ウィリアム・アドルフ・ブグローが描いた「オレステースを責める復讐の三女神」が使われている。
なお、ドイツではグロフの長篇一作目であるThe Monsters of Templetonとその次のArcadiaも出版されており、フランスではそれらに加えて短篇集Delicate Edible Birds: And Other Storiesも出版されている。
次は台湾で出版されたもの。米国アマゾンの販売ページを見ると、日本と同じように、前美國總統 歐巴馬(全米国大統領オバマ氏)が2015年のベスト・ブックに挙げたという話を紹介しているほか、「有神話、有傳奇、有真愛、有以愛為名包藏的心機算計 婚姻是一段很長的對話」と書いてあり、漢字を並べただけなのに言っていることがなんとなくわかるのがおもしろい。台湾ではいま、この『完美婚姻』がベストセラーになっているそうで、ちょっと扇情的な表紙であるとはいえ、こんなに長い文芸書がベストセラーになる台湾の読書人たちのパワーに脱帽!
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『運命と復讐』の原書のタイトルはFates and Furiesという。FatesとFuriesはそれぞれ第一部、第二部のタイトルでもある。
では、この二つの言葉はいったいどういう意味なのだろう? 英語をある程度勉強した人にとっては、fate も fury もそんなに難しい単語ではない。それぞれ「運命」と「激しい怒り」という意味だ。ただ、ここでは複数形であることがミソ。
博識な方はご存知かもしれないが、じつはこの二つの言葉は複数形になると、どちらもギリシャ神話に出て来る神々を表わす言葉に変わるのだ。furiesはギリシャ語ではモイライといい、運命を司る三人の女神たち、すなわち運命の糸を紡ぐ女神、糸巻きに巻取る女神、断ち切る女神を指す。
furiesはギリシャ語ではエリニュエスで、道徳的な罪を非難する女神、殺人者を追求する女神、犯罪者や浮気者を罰する女神を指す。どちらも三姉妹で一柱の神と考えられている。
FatesとFuriesの意味はそういうことだが、邦題をどうするか相談する段になってちょっと困ったことがあった。
モイライは日本語では「運命の女神たち」と呼ばれ、英語でも運命を表わすfateの複数形で呼ばれるので何の問題もないが、エリニュエスの方は英語と日本語で少しニュアンスが違うのだ。
日本語ではこれを「復讐の女神たち」と呼び、英語ではfuriesつまり「怒りの女神たち」と呼ぶ。復讐する女神と怒る女神。どちらも上に書いたようなエリニュエスの特徴の一部を表わしているので、なんとも悩ましかった。
結局、邦題はエリニュエスの日本語訳である「復讐の女神たち」から「復讐」という言葉をもらい、日本語で「女神たち」と言ってもギリシャ神話のそれとはわからないので、シンプルに『運命と復讐』とした。
各部のタイトルには「神」という言葉を残して、第一部を「運命の神々」、第二部を「復讐の神々」とした。
復讐と怒りはどちらも第二部を読み解くキーワードだ。訳者としてはどちらがだいじとも言い難い気がしている。これが復讐の物語なのか、それとも英語のタイトルが示すように怒りの物語なのかは、読んでくださった皆さんの判断を待ちたいと思う。
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運命と復讐の書評をご紹介。
・中江有里さん「人生を一変させる結婚の両義性」 『波』2017年10月号掲載。
・佐久間文子さん「オバマ前大統領も絶賛した壮大なスケールの恋愛小説」 『週刊新潮』11月2日号掲載。
いずれも、<新聞・出版社の書評まとめ読み!読書家のための本の総合情報サイト> ブックバンの『運命と復讐』のページで読むことができる。「この本に関するレビュー」という欄。
翻訳者としても、なるほどと思うコメントや、翻訳中に感じていたことを再認識させられたコメントもあり、とてもおもしろく、またありがたく拝読した。
みなさんも参考にしていただけるとうれしい。
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